ランキング パート3
IT担当の活字中毒者です。
南無阿弥陀仏
今年ももう師走ですね、オペレーションのわらじすとです。
3Dテレビ
ITのごりです。
アナログ放送が来年に終わるということで実家のテレビを買い替える為にテレビの研究をしていたのだが必ず耳にするキーワードが『3D』であった。
師走に思うこと
今年も早いもので、もう師走を迎えてしまいました。
年々の暖冬で今年もまだ寒さは弱いですが、これから冬本番ですね。寒いのが苦手なオペレーションのMパパです。
そんな寒さ厳しい山の盆地に暮らしていますが、自然が多いので季節感と風情はさすがに色濃く健在です。
帰宅時はきれいな冬の星空で星座を見つけながら帰るのが日課です。
最近またプラネタリウム流行りだとか。渋谷にも五島が閉館後どこかにオープンしたと聞いたので今度行ってみようかと思います。
大晦日はあちこちのお寺から除夜の鐘がこだまし、外に出ているとこれがまたなんとも言えず心落ち着くと共に、ふと自分の一年を振り返る気分になります。
また、町内では新年と同時に神社の境内でお囃子が奏でられ、甘酒と鍋物と日本酒を振舞う習慣があります。
自分も囃子連に名を連ねており少し前までは演奏し振舞っている側でしたが、ここ数年さぼって幽霊会員状態です。
一緒に演じていた子供も当時はおかめを踊っていたのが、現在はHIP HOPに変わってしまいました。
その子供も来年には家から自立しそうなので、今年の大晦日から元旦にかけては久しぶりに一緒に参加してみたいと思っています。
この風情を忘れずにいつでも帰っておいでよとの思いを胸に刻んでもらえることを期待して。
料理人のお勧め本
本日は、闇の料理人トーマス「一押しの本」をご紹介いたします。
高田郁著「みをつくし料理帳」(ハルキ文庫)のシリーズ。現在次の4冊が出ています。
「八朔の雪」
「花散らしの雨」
「想い雲」
「今朝の春」
いずれも書き下ろしの短編が4編含まれていて、都合16編。どれも素晴らしい出来栄えです。
舞台は江戸。大阪から出てきた澪(みお)という名の女料理人を中心とした物語です。
1冊ごとに1年が経過するという設定ですので、澪が江戸に出てきて4年が経過したところでしょうか。
何が素晴らしいか。
まず登場する人たちの誰もがとても素敵です。いずれもキャラがとても立っていて、中には癖の強い人もいるのですが、でも奥底の心根が優しい。状況に応じて自分を抑えたり、逆に物言いしなくてはならないときには誤解ない言葉でしっかりと諭したり、そのあたりの機微が読者の胸に染み込みます。
「そうか、そんな風に考えたり、答えたりできるんだな」と思える科白がたくさん出てくる。目を見開かされる。読んでいると、自分の心の奥の奥が、ほんのりと暖まってくるのがわかります。
計算しつくされたストーリーも見事なものです。1編1編がそれぞれに味わい深いストーリーとなっています。そして16編全体が、一つの物語として連綿と繋がっている。多くの登場人物が、既に作者の手を離れて、自分自身の考えで勝手に動き回っているかのように思えるのに、どこにも無理な展開がありません。
ストーリーにアクセントを与える細かなエピソードや薀蓄も雰囲気を盛り上げています。細かすぎず、うるさすぎず、ちょうどいい塩梅でストーリーに活気を与えています。中にはきっちりと後々の伏線になっているものもある。そのバランスに、只者ではない作者の力量を感じます。
舞台が江戸で、しかもお城の北側。つまり、後楽園にあるラクラスの活動範囲と近いのも、この作品を身近に感じる一因かもしれません。
澪は、長屋がある神田金沢町(現在の外神田)からお店がある九段坂下の俎板橋まで、毎日歩いて通っています。昌平橋で神田川を渡り、神保町の武家屋敷の間を通り抜けて、九段坂下まで通ったのでしょう。長屋のそばの神田明神にもときおりお参りしています。いずれも、僕らにとっては馴染みの場所ばかりです。
そして何よりこの作品を特徴づけているのが、澪の紡ぎ出す料理の数々です。澪は、二番煎じを良しとせず常に新たなアイデアを考え出し、細かな手間を惜しまずに、お客様に出すに相応しい料理へと仕上げていきます。
江戸の昔から、町民の間にまでこれほど豊かな食文化が広がっていたことには、ただ驚くばかりです(まあ、実話ではありませんが)。
列強諸国が日本を占領しようとしなかったのは、「町民まで本を読む習慣があるほどの文明国だったから」という理由によるものだという説を読んだことがあります。ここに、「町民まで季節ごとの食材を楽しむほどの文化がある国だったから」という理由も付け加えたくなります。日本って素晴らしい。もっと自信をもたなくては。
各巻の巻末には、澪が作り出した料理の丁寧なレシピが掲載されています。この趣向も珍しいですよね。
とはいえ、出てくる料理のレシピまで掲載してある本に巡り合ったのは、実は2作目です。トーマスという名前は、最初に出会った本の主人公の名前からもらっています。
みをつくし料理帳には、まだ解決していない謎がいくつかあります。その謎が解決するまで、シリーズは続いていくのでしょう。すごく楽しみにしています。
読みたい方は学級文庫においてあります。ぜひどうぞ。