Diary社員日記

ラクラスではどんな生活が待っているのでしょう。
社員が日記に綴ります。

2011/08/09
社員日記

スクリューキャップ

最近のオーストラリアやニュージーランドのワインは、コルクを使わずに、スクリューキャップで栓をしてあるものが主流です。最大の理由は、コルク臭によるワインの劣化がないことです。スクリューキャップ推進派によると、コルクの臭いがワインの味になんらかの影響を与えてしまう可能性は10%もあるそうです。そのために、味わいがより繊細な白ワインから、スクリューキャップが使われるようになりました。

赤ワインへの適用はやや遅かったのですが、それは「赤ワインの熟成のためには、コルクを通じて入ってくる若干の空気が必要」という伝統が妨げとなったためです。しかしながら現在では、「熟成に空気は関係ない」という研究も出てきています。でもこればかりは、実際に数十年を経てみないとわかりません。

そのため、伝統に忠実はフランスは、スクリューキャップに変えて数十年後に愕然とするよりは、コルクを使い続けようとしています。一方、伝統に縛られないオーストラリアやニュージーランドは、赤ワインでもスクリューキャップを使うようになってきました。

スクリューキャップによって一番影響を受けるのは、ソムリエによる「コルク抜きの儀式」でしょう。シールに切れ込みを入れるとき、ラベルは常にお客様の方を向けていなければなりません。やってみるとわかるけど、これだけでも実は結構難しい。そしてほんの数挙動で、優雅にコルクを抜き去る。

この儀式を見るのは、食事時の楽しみの一つです。

でもスクリューキャップになってからのソムリエの仕事はキャップを捻るだけ。わずか1挙動で作業は終了してしまいます。ラベルをお客様に向け続けるのも簡単なこと。もはや儀式ではなく、単なる開栓作業でしかありません。ソムリエナイフも登場の機会を失い、ポケットにしまわれたままです。

さてさて、ソムリエがキャップを捻るのを見て僕が思い出すのは、「バックツーザフューチャー」の主人公のマーティー(マイケル・J・フォックス)です。1985年から1955年に来たマーティーは、受け取ったコーラの栓を捻って開けようとします。でも指先を痛めるだけで開けることはできません。

「そりゃ開かないだろう!」と日本人なら思います。ところが1985年のアメリカでは、コーラの栓は「捻って開けるもの」でした。

僕も最初に見たときにびっくりしたものです。マーティーとは逆に、コーラを受け取って栓抜きがないものかと探していたら、未開人を見るような目でアメリカ人の同僚が僕のことを見て、目の前で栓を捻ってくれました。そして、ツイストキャップという単語を教えてくれました。

2031年にバックツーザフューチャーが作られるとしたら、2011年に来たマーティーは、ワインを捻って開栓しようとして指先を痛めるのかもしれませんね。

闇の料理人トーマスでした。
 

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